イザヤ書 38章



37章では、アッシリアに包囲されたエルサレムが、神によって救われた出来事が書かれていました。続く38章では、同じ頃に起こった神の奇跡について書かれています。ガリレオ・ガリレイも真っ青になる奇跡です。同じ内容が第二列王記20章にあります。後でそれについて触れていきます。

 

 

1-8節:ヒゼキヤの病と主による回復

 

 

「そのころ」というのは、エルサレムがアッシリアの軍隊に包囲される前の出来事でした。

ヒゼキヤ王が病気になったのは701年頃と思われます。

 

病気になって死にかかっている王の所にイザヤが来て、おまえの寿命がきた。王位継承の準備をせよと伝えました。それを聞いてヒゼキヤは、神に救いを求めました。王は、なぜ壁に向かって祈ったのでしょうか。

 

腫物ができた汚れた体では、宮には上がれません。とにかく床(とこ)から抜け出し、神殿に最も近い壁に向かってひざまずき、壁を打ちたたいて、真剣に神に祈るのです。今まで自分は神に従って生きてきたことを強く訴えて、「救って下さい」と泣いて祈りました。

すると神はイザヤを通して応えられました。「おまえの祈りを聞いた。寿命を15年延ばそう。」つまりこの死の病を癒すだけでなく、王の命を守るため15年の間エルサレムもアッシリアの侵略から守ると神は約束されたのです。

 

その「しるしとして日時計の影を10度戻す。」と言われました。当時の日時計の10度が今の何分に当たるか分かりませんが、とにかく太陽が東に戻ったのです。つまりその時間分、地球が逆回転したことになります。ガリレオが発見した慣性の法則からすれば、山は倒れ、海は大津波を起こすほどの出来事です。それが何事もなく行われたとすれば、現在の科学では説明できません。それほどの出来事です。実際にそうなったのかもしれませんし、世界中の人の意識がその時間分、逆戻りしたのかもしれません。神は時間をも制御されるのです。

 

この章と同じ内容が第二列王記20章1-11節にあります。内容は同じですが、列王記の方が、経過が分かりやすく書かれています。第二列王記20章5節で、「見よ、わたしはあなたを癒やす。あなたは三日目に【主】の宮に上る。」と主は言われるのです。神はヒゼキヤの腫物に干しいちじくを当てさせ、この病を3日で完治させると言うのです。列王記の7節で、「すると彼は治った。」と書かれていますが、神のことばを受けても、死の病が完治するかどうかヒゼキヤは半信半疑でした。藁にもすがる思いでヒゼキヤは3日で癒される証を神に求めました。神は日時計に落ちたお日様の影を十度分、後(あと)に戻すという驚くべき奇跡を約束し、実際にヒゼキヤはその日影が逆に動くのを見たのです。

 

9-20節:病気回復感謝の祈り

 

 

腫物が無くなり、死の病から完全に回復した時のヒゼキヤの詩です。

10-12節、自分の命は尽きると神から宣告された時の感情を語っています。この時、ヒゼキヤ王39歳。人生の半ば、働き盛りのまま死ぬことを悲しみ、生きる者の世界で主に会えなくなることを嘆いていました。

13-16節、「私を健やかにし、私を生かしてください」と苦しみの中でうめいて祈った自分の姿を、いろいろな鳥が鳴く姿にたとえています。

15節で「何を私は語れるでしょう。主が私に語り、主が自ら行われたのに。」

最初は、自分が神のことばを守って、偶像を取り去り、国を整えてきたとヒゼキヤは実績を誇ってきましたが、それらは神が語られて、神自らやってこられたことだったとヒゼキヤは気が付いたのです。神に癒され、その癒しを実感していく中で「自分がこれだけやったから助けてくれ」という傲慢な訴えから「私をあわれんで生かして下さい」という願いに変わってきたことが分かります。

17-20節、癒された時の平安を覚え、子供たちに伝えていこう、主への感謝を賛美して生きていこう、と言うのです。

 

この詩は、不安と苦しみが取り除かれた喜びの歌です。その喜びは病が癒されたこと以上に心に平安を得たことから来るものでした。17節「ああ、私の味わった苦い苦しみは平安のためでした。あなたは私のたましいを慕い、滅びの穴から引き離されました。」つまりこの苦しみは自分が神に本当に愛されていることを知った出来事だったのです。神は、ご自分とヒゼキヤの間をさえぎる罪を、神の背後に投げ捨ててくださったとヒゼキヤは感じたのです。その罪は自分の傲慢さでした。

神はヒゼキヤのたましいだけを慕っているのではありません。あなたのたましいも同じように慕っておられます。そしてあなたの罪をご自分の後ろに放り捨てるために、一人子イエス様を私たちの所にお送りになったのです。

 

17節を、もう一度お読みします。「ああ、私の味わった苦い苦しみは平安のためでした。あなたは私のたましいを慕い、滅びの穴から引き離されました。あなたは私のすべての罪を、あなたのうしろに投げやられました。」

改めて主の恵みに感謝したいと思います。

(小室 真)